FF13 −断章−



01:消えた神々

輝ける神は、滅びゆく万物を嘆いた。
強き神は、未来を求めて世界を拓いた。
賢き神は、真実を求めて英知を極めた。
愚かな神は、何も求めずただ消え去った。
ある神は、己の断片からファルシを創った。
ある神は、消えた神の名残から人を創った。

やがてすべての神々が、世界を見放し去っていった。
ファルシも人も、創造主に捨てられ孤児となった。


02:悪魔の巣窟

狡猾なる悪魔の眷属は、グラン=パルスの美しき大地を
えぐり、醜い繭を天に築いた。
悪魔は繭を楽園とうそぶき、民を誘惑して連れ去った。
大神パルスの恵み深き地を捨てて、悪魔の誘いに乗った
愚か者どもに呪いあれ!
繭に抱かれし者は、人間といえど悪魔のしもべ。
大神パルスをあがめる者よ、天に挑んで繭を滅ぼせ。


03:選ばれし者

北方の最果てにふたりのルシあり。
ファルシより授けられしは降魔の使命。
魔獣となって悪魔を討つ者なり。

グラン=パルスの同胞よ、祈りを捧げよ。
選ばれしルシたちが、心の力を刃に変えて、
悪魔の繭を斬り裂き、堕天せしめんことを。


04:天地の闘争

巫女パドラ=ヌス・ユールはかくのごとく語れり。

飛翔したラグナロクは、天に浮かぶコクーンを滅ぼし、
グラン=パルスに永遠の安寧をもたらそうとした。
されど女神が破壊を阻んだ。
悪魔に従うコクーンの愚民を憐れんだ女神は、
ラグナロクとなったルシの力を奪い、クリスタルに
変えて、使命なかばで眠りにつかせた。


05:衰退の時代

コクーンの悪魔どもが、我らの大地を蹂躙してから
どれほどの時が過ぎただろう。
かつてグラン=パルスの人々は、コクーンと戦うために
団結したのに、今は仲間同士で争っている。
資源を奪いあって疲れ果てた人類は、自然の脅威に
圧倒されて、滅びへの道をたどる。
栄華を極めたハリの都も、巨獣に襲われ廃墟と化した。
コクーンの悪魔は我らの衰退を嘲笑しているのか……。


06:滅亡の時代

大神パルスのファルシ民を救ってはくれない。
人口が減少の一途をたどっているが、容赦なくルシに変え、
理解できない使命を与えて使い潰してしまう。
そして人と人が争う。手を取りあって自然の脅威に対抗すべきなのに、
人同士で刃をまじえ、大地のわずかな
恵みを奪いあっている。最後に残ったこのパドラ市も、
いずれ人の手で滅びるだろう。救済の手立てはない。
グラン=パルスの人類は、遠からず死滅する……。


07:大神パルス

世界を無限に押し広げようと考えた大神パルスは、
混沌を裂いて空間を拓いた。大神はファルシたちを
生み出し、世界を完成させる使命を与えた。
ファルシたちは大神を喜ばせようと開拓に励み、
また人をルシに変えて計画に参加させた。
人々は大神を崇拝し、この大地を「大いなるパルス神の地」と名づけた。
けれど大神は消えた。世界を捨てて、立ち去った。


08:邪神リンゼ

我らのファルシが、大神パルスの子であるように、
コクーンに巣食うファルシもまた神の子である。
なれど、かの神は善なるものにあらず。
狡知に長けた悪魔の王なり。忌むべき邪神なり。

コクーンのファルシは邪神リンゼの眷属なり。
邪神がこの世界を去った時、見捨てられし孤児なり。


09:女神

女神は何も求めなかった。女神は何も創らなかった。

女神は、ただ憐れむ。
死すべきさだめの命を憐れむがゆえに、幾万の命を
奪わんとした者を眠りにつかせ、破滅を阻んだ。
死よりも過酷な使命に縛られた者を憐れむがゆえに、
絶望に破れて道を見失いかけた者のもとへ御使いをつかわし、希望へと導く。


10:外なる敵

ファルシは外敵との戦いに備え、多くのアークを築いた
という。外敵とはコクーンの悪魔のことか?
しかしアークの伝説は、コクーンが生まれる以前からある。
悪魔がコクーンを築く時、いくつかのアークを盗んで
コクーンに隠したという言い伝えもあるらしい。
いったい外敵とはなんだ? 「外」から何が来るのだ?
あるいはこちらから「外」へ攻め込むのが目的か?
……去ってしまった神は「外」へ行ったのだろうか。


11:探求の仮説

ファルシが大地を開拓するのは、新たな領土を築いて
神に捧げるためだと信じられている。
だが開拓とやらはあまりに無秩序だ。
そもそも領土を捧げる神は、もうこの世にはいないではないか。
ここにひとつの仮説を提唱する。
ファルシたちは探しているのだ。大地を、地底を、
水中を、天空を調べて、神へ至る門を探求している。
神を呼び戻すためか、神のもとへ旅立つためか……。


12:魂の門

器である体が滅びた時、魂はこの世を去る。
その時、魂が神と同じ道をゆくのではないだろうか。
かつて神がこの世を去った時に通った門を抜けて……。

数多の体が同時に滅べば、数多の魂が同時に門を通る。

門は大きく開け放たれるであろう。
魂を迎える門の彼方に、神の光が見えるであろう。


13:新しき神話

大神パルスの子は地を裂き、物質の領域で門を求める。
邪神リンゼの子は命を殺め、霊魂の領域で門を求める。
―我は視た。
絶望を秘鍵として隠されし門が開かれるであろう。
希望は犠牲によってのみ拓かれるであろう。
この世に神々の黄昏が到来せし時、輝ける門の彼方、

色のない不可視の次元より、声なき歌が響くであろう。
はかなく消える命を憐れむ、女神エトロの嘆きの歌が。


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