FF13-2 ED解釈について


 謎の多いゲームでした。まだ全てが網羅されてはいませんが、どうやらEDは決まりのようなので、物議を醸しだしている謎のエンディングについて2012.2月時点での管理人の考えをまとめてみます。


まずゲーム本編の設定。タイムトラベル物の矛盾を解消するべく、工夫が凝らされている。
ひとつは『親殺しのパラドクス』の矛盾解消。
(親殺しのパラドクスとは:主人公が過去にタイムトラベル→自分の親や幼い自分を殺す→主人公は未来に存在し得ない→存在がないため対象者は殺されない→殺されない限り主人公は生まれてくる。このように矛盾をはらんだループとなる)

この矛盾ループの打破に『シュレーディンガーの猫』の量子論が利用されている。
セッツアーのダイスのフラグメントには、上記の量子論が、コインの表裏を例に上手く説明されている。
「コインを投げて見えないよう伏せるまでは出ている面が表か裏かわからない、確認して未来を確定するまでは、表と裏の過去が同時に存在している」というように。

これが「未来が決まって過去が変わり、選ばれなかった並行世界の過去は消えていく」というゲーム上のアリサ・ザイデルのパラドクス理論につながっていく。

『親殺しのパラドクス』にあてはめると、
タイムトラベルをする主人公という未来(あるいは現在)が確立すれば、
"過去を殺した過去"と"過去を殺さなかった(殺せなかった)過去"が、二つ並行世界に存在することになる。


タイムトラベルする主人公が存在するということは、後者の過去は選ばれなかったことになり、 パラドクスとして消えていくことで『親殺しのパラドクス』が相殺される。
これを下敷きにすると、何故13-2のタイトル候補に『インフィニティ』(無限∞)があったのかがわかる気がする。

カイアス、ノエルとセラが目指す未来の基点はヴァルハラになるが、何故ゲーム進行はヴァルハラからヴァルハラへとループしているのか。
ヴァルハラは過去と未来が交互し、混在する場所。
最終的にはライトニングがクリスタル状態になろうとも、その基点の時間が交互し、
未来が決定せず過去も決まらないため、ノエルとセラの旅が繰り返されるという特殊な状況に陥っているのではないか?ということになる。

そもそもエトロが混沌の這い出しを押さえるため、時間を巻き戻したことから歴史が壊れ、パラドクスが起きたと思われる。
ヴァルハラは、本来人外の者しか存在してはいけない世界のはずで(女神の力を継いだとはいえ、あの世に何故か生身の人間が存在出来ている)、そこに引き込まれた人間のライトニングがパラドクスそのものになる。

とすると、時空の歪みが起こらなかったはずの世界が正史として存在している。13-2そのもの全部がパラドクスクロニクルになる。
スノウが途中、サンレス水郷でパラドクスとして消えるシーンがあったり、ノエルとセラは各時代を自由に行き来出来たりといろいろあるが、ゲーム内で起きること全てが予言されたパラドクスクロニクルと仮定する。
このパラドクスクロニクルの輪廻を打破すれば、全てが正史に戻り得るのではないか。
つまり、13-2はライトニングが抵抗を止めない限り、輪廻を繰り返してしまう歴史との構造になっている。

パラドクスクロニクルを終わらせなければ、終わらない歴史になってしまう。
それをまず負けることで打破し、その上で新たな歴史展開が始まる希望があるのだと、ライトニングは何らかで知って、あのような状態になったと思われる。
予想としては可視世界と不可視世界以外に第三世界(エトロの兄弟やブーニベルゼが眠る)が外界として存在する可能性がある。

外界の存在は13の断章からも伺える。
設定の表出はないが、エトロは時詠みの巫女を生み出してるので、時も司る女神なのではないか。
ヴァルハラの『時』も、本来は女神の力で秩序が保たれていたのかもしれない。
ヴァルハラでの敗北が未来として定まれば、ライトニングにとっては『敗北』との結果になるが『希望』と表裏一体になり得る。

この未来の決定に「天から現れる希望の星」として外界からの関与をしてくるのが、ブーニベルゼ(輝ける神)リンゼ級の神であって、次の物語はこの神たちに焦点をあてて新しい時代が展開されるのではないかと思う。


ライトニングは「さだめと知り敗北を受け入れた」とオートクリップにあったが、13-2は13から連綿と続く歴史の修正力との闘いのように思える。
コクーンが落とされ、混沌が世界を席巻し、滅びの道を歩むのを13のラストでライトニング達が阻止。
それをファングとヴァニラが支え、女神が混沌を止めても、13-2ではコクーンはあらゆる歴史の修正力で落とされようとする。
プリンであったりカイアスであったり。
歴史の修正力とは、歴史が本来ある姿に戻ろうとする力のこと。タイムトラベルを扱う作品ではかなり出てくるテーマとなる。

ライトニングがいくらヴァルハラを守っても、いずれ死にゆく女神のさだめを変えることは出来ない。
13-2でユールが存在してはいけないモンスターを時空に封じ込めたのも同じで、歴史を変えても、後々必ず歪みが発生し、歴史はそれを許そうとしない。
アリサも存在を許されず消えてしまう。
エトロがいずれ死ぬというさだめを、いくら回避しようとしても、カイアスの心臓が刺されることで、ここにも歴史の修正力が働いている。
つまり、避けられない『さだめ』を司る、まだ描かれていない、なにか大きな力の存在があるのではと思う。

ライトニングはセラやノエルに何も言わず、一人で引き受けてクリスタル化するのは、以上の理由によってかもしれないと解釈しました。

最後にフラグメントの一文『ヴァルハラが空を喰い破る時、輝ける名の星が現れ、天にきらめく希望となる』から。
ホープ(希望)によって名付けられた新コクーンが「ブーニベルゼ」であるのも、ブーニベルゼ(輝ける神)⇔輝ける名の星⇔閃光(ライトニング)のようにとらえられるのも、続く物語への伏線であり、新時代の象徴であればと祈って13-2EDの解釈を〆る。

<fin>

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 FF13-2 米映画のような構造



FF13-2を構成的観点から分解。
ハリウッド映画のような構成や演出を思わせる部分。一般的によく言われるのが黄金律の三幕構成。
act1:状況説明、act2:展開、act3:解決。
act1,2のラストで小さな『転』が用意される。
追加。各ゲートの初めに物語のナレーション、エピソードの初めにエピソードの題文字がクレジット風に入る。



act1→状況説明。
人物や物語背景の紹介、物語を動かす人物やテーマ提示。
ヴァルハラやネオ・ボーダムAF003は全体の風景を映したカメラが頭上から被写体に近づく。
ヴァルハラの実戦シーンをセラの夢へつなげる。結を最初に見せる暗示的な演出にて全体的なストーリー提示をし、ファロン姉妹メインの人物紹介。

物語を動かす人物はノエル。ノエル(未来を救いたい)とセラ(ライトニングに会いたい)というテーマの提示。
act1の『転』はヤシャス山でのホープとの再会。セラの意識が徐々に変わっていく。とにかくお姉ちゃんに会いたい→コクーンが落下を止める=姉や世界を救うにつながる→未来を広く見据えるきっかけとなる。


act2→展開。
テーマへの核心へ。ここで登場人物の葛藤が強弱をもって描かれる。
二人の旅の目的になる障壁、カイアスとの邂逅。
歴史の改変には、ユールの犠牲があるがそれでも進んでいかねばならないという選択、二人の望む夢(死にゆく世界)への逃避等々。

act2ではだいたい、登場人物に色を添えるサブストーリーがエッセンスとして用意される。モグの正体、ライトニングのブリッツ隊エピソード、ユールの紅玉関連の話云々。
act2の『転』はライトニングとの再会。

act2の転で初めて物語の全体像が明かされる。
カイアスの目的やライトニングが望む世界結果など。
死にゆく世界の葛藤を経て、セラの意識が未来を救いたいという確固たる意志表明をする。
ノエルはカイアスを越えねばならないことを知り、act3である結の解決へとつながる。


act3→解決。
問題解決の努力をした人たちの集結、登場人物がピンチ→形勢逆転にて解決(クライマックス)→終幕のパターン。
ホープやサッズが集結し、ノエルは女神の心臓を刺せばピンチになることをユールから警告される。カイアスを倒すのがクライマックス。終幕がセラの昏倒(死)状態や混沌の解放。

テンプレのような展開だが、13-2は一部違う。
本来主人公のピンチに対して解決方法が示され、観客はそれを応援する。
またはハッピーEDが定石。
終幕にはたいていピンチとなった主人公が難問を解決すべく努力した姿と、観客の感情が一体になった達成感が、余韻演出として用意されるが、13-2はここが違う。


スタッフクレジットの後に、作品真意や続編を匂わせるおまけ映像があるのも映画的手法。
多くの謎を観客の思考に問いかけるプレイヤードリブン方式、伏線を匂わせる断片(フラグメントなど)、続編があるのか意味深に終結させるクリフハンガー方式。
13-2はこの手法を多用している。

多くの謎や啓示を盛り込み考察を促す作品といえば、セブンやマトリックスシリーズなど。
文学作品でこの手法を好んで使うのは村上春樹氏。しばしば物語を難解にし、丸投げとか未完成などと言われる紙一重の手法。
面白さと諸刃の剣となってしまうことが多々ある。


このような演出は映画や小説にはあっても、ゲームでは珍しいのではないだろうかと思う。
13-2での斬新な点はまだある。
勧善懲悪の表裏が決まらない。必ずしもカイアスが黒、ライトニングが白ではない。
パラドクスを起こした張本人はライトニングであり、歴史を改変するセラは時間警察の役割を負っているカイアスから見れば悪の存在でしかない。
本来RPGの悪役にあたるカイアスは、ユールの死や転生、歴史改変の阻止と彼独自の正義に則って戦う。
反対側から見るとライトニングが悪役となる。

タイムトラベルで綴られる未来や過去の意義もまたそうであって、死にゆく世界のネオ・ボーダムで、ノエルとセラは未来の自分から手紙を受け取る。
ノエルは過去の自分への励ましで、セラはやり遂げた戦いを後悔していないとの内容。
良い結果(未来)をもたらすなら、辛い過去も良いものに変えることが可能なのだと、意識変化の必要性と可能性が絶え間ないメッセージで用意される。
プレイヤーの、いろいろな固定観念に一考を促す作品という感想を抱いた。

ストーリー構成がしっかりとしているにも関わらず、行き来が自由なタイムトラベルの、ヒストリアクロスであっちこっち行ってる間に訳がわからなくなってしまうこと。
サブストーリーがクリア後にやっても大丈夫な設計になっていて、構成が壊れてしまうことが少々残念に思えた。

<fin>

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(考察1,2を下敷きにしています)

 FF13-2 名前に隠された象徴
(カイアス・バラッド及びDLCサッズ編においてのひなチョコボ)


 時詠みの巫女の誓約者として、ライトニングの敵として現れたカイアス・バラッド。
 ゲーム本編だけの情報しか無い現在、ひときわ謎な存在だ。彼は一体何者なのか。
 本当にユールの転生を哀れんでのみの理由で、混沌を解放しようとしたのか。
 シークレットエンディングの彼の独白で、この疑問が湧き上がった。


 彼の綴り名はアルティマニアから、Caius・Balladであることがわかる。
 FFシリーズでは主人公が天気にまつわる名前から取られていたり、モンスター名や召喚獣が世界の神話から取られていたりする。
(管理人が、エネミーレポートでであったバグ『出現しないイルルヤンカシュ』はWikiによるとヒッタイト神話に出てくる蛇神だとあった)
 カイアスもプレイヤーから見ると立場上、敵(エネミー)であるので、それに則って考えてみたい。

 ゲーム中のフラグメントには、カイアスの好敵手として、あと一歩で彼を倒さんとした男がいたが、敵の急襲により果し合いが中止となった。結局、ユールを守って死んでしまった男に敬意を評し、カイアスは男の氏族名"バラッド"を名乗ったとある。本名は明かされていない。

 代々の誓約者は『混沌の力』を持ってして巫女を守っていることが、ノエルのセリフよりわかる。
 度々カイアスが化けるカオスバハムートは、その"絶対召喚"の力が使われている。
 ユールはリンゼ神が創出し、エトロが混沌(心)を贈ることで命を得た"人類最初の人間の生まれ変わり" (シナリオアルティマニアより)なので、誓約者も混沌に縁が深そうだ。

 FF13-2は大きく四つの勢力に分けられる。
 第一勢力→パラドクスを解消しようとする人(ライトニング達)
 第二勢力→それを阻止しようとする人(カイアス達)
 第三勢力→眠っている神々(女神エトロ、どこか外界へと去ったブーニベルゼやリンゼ神)
 第四勢力→ライトニングも知らない闇の力、ムインが世界の均衡を保つようエトロに遺言した混沌の力。
 第二勢力のカイアスに力を貸してるのは、恐らく第四勢力にあたる混沌。
 13-2において、滅びの歴史へ向かう世界へ抵抗する主人公たちに、歴史の修正力として働いてる「さだめ」を司ってるのは恐らく混沌勢力だと思われる。

 公式の綴りからカイアスを解明してみよう。
 カイアス(Caius)ガイウスとも読め、恐らくガイア(大地)と同意味。
 古代ローマの皇帝によくみられる。暴君のカリグラとか「ブルータスよお前もか」のカエサル(クレオパトラの愛人)など。ガイアはギリシャ神話の地母神(女神)。
 ファブラ・ノヴァ・クリスタリスにおける地母神は、ブーニベルゼ兄妹を生み出したムインにあたる。
 カイアスの名前から推察するに、カイアスは地母神ムインと同列の神(第四勢力の混沌)を名乗ってることになる。
 第四勢力の代表を名乗っていると言い換えてもいいかもしれない。


 バラッド(Ballad)とは詩人が語り唄う物語の歌のこと。
 バラッドはときに悲劇であり、幻想であり、破滅を歌いあげる。韻を踏み呪術的な響きすらある。
 日本でいえば例えば「日本書紀の記紀歌謡」両者とも「神々の戦い」が描かれる。
 オープニングのカイアスは劇的なセリフで現れる。(麗しき軍神よ、祝祭を始めよう、戦慄に舞い踊れ等)
 いずれも非常に象徴的なネーミングだ。
 そして"混沌"は、度々カイアスに滅びのさだめを語らせている。


 シークレットエンディングにおける、カイアスの「始めよう、ユール」とは何を意味するのか。
 最も謎なのはユールだ。AF各時代のユールの中には、ノエルに良い未来をみせてほしいと手助けする者もいる。
 AF500年新都アカデミアでは、ユールは度々「女神を殺してはいけない」とノエルに警告する。
 しかし、カイアスを止めている様子がない。
 たとえ誓約者と巫女が歴史を変えてはいけないという理由で、互いに不可侵の存在として制約があったとしても。すでに歴史は壊れており、ユールはそれを受け入れる覚悟でノエルに忠告や協力を続ける。
 カイアスにだけ何も言わないのは何故か。ユールの立ち位置も謎だ。
 AF前半のカイアスはノエルに斬撃をあたえながらもユールに従い、アガスティアタワーでノエルに協力するユールを送り届けてすらいる。
 AF後半に進むに従って彼のそのような優しさは消えていく。
 シークレットエンディングの科白では、ユールと何かを仕組んだ共犯のような雰囲気さえ感じ取れる。


 ここからは超個人的解釈になるが、カイアスは、ユールの転生を解放するのが目的で混沌を解放した訳ではなく、もっと大きな混沌側勢力の目的が根底にあり、操られていた部分もあるのではないか。
 個人的な感情としてエトロを憎み、ユールを哀れんで混沌を解放することを願った
 しかし、混沌側は何か目的があってそんなカイアスを利用したのかもしれない。
 両者の思惑が一致した真の目的があったのではないか?シークレットエンディングからそんなことを考えた。


<おまけのDLCサッズ編においてのひなチョコボ>

 チョコリーナのミニエピソードに出てくる七匹のひなチョコボは、キリスト教において人間を罪に導く原因の"七つの大罪"から名づけられている。
 ルクスリア(色欲・ラテン語)、ナイド(嫉妬・ドイツ語)、グリード(強欲・英語)、スロース(怠惰・英語)、ラス(憤怒・英語)はサッズについていく。
 七匹目のグラットンは仲間にならないが(暴食・グラトニイ)。
 ザナドゥは『悦楽の宮殿』で、その名の場所においての人間の七つの大罪。
 可愛いひなチョコボにそんな名前がついているとは、遊び心あるさりげない仕掛けだ。

 ひなチョコボはチョコリーナを合わせて七匹の七色。虹を思わせる七色だ。
 虹には旧約聖書でノアが方舟に乗って洪水の難を逃れたあと、神が世界を滅ぼすような洪水は起こさないと約束をして、その証に虹を空にかけたという話がある。
 虹は神の約束を象徴するものだという。それとぴったり合う、思わせぶりな配色。
 ゲームラストにて、ホープが打ち上げた人口コクーンを方舟と称しているのは、このひなちょこぼと何か関連があるのか。
 新コクーンブーニベルゼを打ち上げる空には、虹色の光があった。
 今後の展開を匂わせる象徴のひとつであれば嬉しい。
<fin>


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(前の考察を下敷きにしています)

(こちらの考察は女神の鎮魂歌をプレイして結果がわかりました←※下記追記)

 FF13-2 女神の騎士ライトニングの謎(導きにおいての矛盾)


 女神の騎士ライトニング。何故、彼女はセラにヴァルハラに来てほしかったのか。
 ゲーム内現れ方及び、彼女にはセラに旅をさせる上で、未来を救って欲しい以外に隠された真の目的があったのではないかとの妄想。
 まず現れ方。ホープ、スノウには夢に出てメッセージをあたえる。未来を救う旅の導きをノエルに頼む。何故かセラの夢には、メッセージを伝える形で出てこない。

 セラは夢で姉の状況を知る。この場合ライトニングの意志で出現するというより、時詠みの力にて姉の戦いを視ているようだ。
 ライトニングがセラに能動的にメッセージを送ろうとしないのは何故か。これは妹が時詠みの力に目覚めていると彼女が気付いていたからだと仮定する。

 ヴァルハラからセラとノエルの旅をライトニングが視ていたらしい事は、ビルジ遺跡AF005年など、ゲーム序盤で彼女のナレーションが入る事により理解できる。セラの時詠みの力に気付いてない可能性は低いように思える。

 よってライトニングは誓約者ではないが、ただセラを視ることしか出来ない。
 同じ元ルシでも、夢で干渉できるホープやスノウは普通の人間。
 セラに干渉やアドバイスすれば余計に命を縮めかねない。
 姉としての気持ちからはその力を止めは出来ず、ライトニングは黙っていなければならない。だからそのような非情な選択を強いられたのではないか。

 フラグメントには、彼女がセラをヴァルハラの苛酷な地へ導かねばならないやるせなさの一端が伺える。姉としてセラを思うならボーダムに留まらせてもよかったのだ。それでも、ノエルと共に旅をさせたのには、未来を救う以外の何かが隠されているように思えてならない。

 ライトニングには敗北しか残されていない。実はゲーム序盤からそのことを彼女自身知っていたのではないかと思う。何故、伝えなかったのだろうか。伝えたところでどうにもならないし、伝えられないだろう。死にゆく世界での彼女の表情は全てを悟ったような儚ささえ漂う。

 横道に逸れたが、ライトニングの現れ方。
 全てリアルではなく夢の中。ブリッツ隊のエピソードでは残留思念のような形で出現、セラは対話出来ず。
 カイアスに見せられることになる夢の中(死にゆく世界)でようやく姉妹は再会出来る。いわばカイアスの手の内で。

 セラは死にゆく世界の夢の中で、ファングとヴァニラにも会う。二人はクリスタルの状態。
 そこでのヴァニラの言葉から、夢の中だから会えたのだとのようなくだりがある。これはライトニングにもあてはまらないかと考える。

 ヴァルハラでライトニングがクリスタルになっている間は、皆の夢に干渉出来る。
 自らがクリスタルになるしかない状態では頼みの綱はそれしかない。『妹の命を縮めてもヴァルハラへ導かねばならなかった何か』が、ライトニングにとって、未来や世界を救う最後の希望だった。
 ライトニングはノエルとセラが旅をしている間は、すでにほとんどクリスタル化した状態だったのではないだろうか。
 FF13-2のシナリオアルティマニアには"ラストバトルの舞台「時の台座」はライトニングが混沌の海から引き上げた"とある。
 これはノエルとセラに「カイアスと戦いなさいよ」と言ってるようなもので、二人に倒させるのをしっかり後押ししてるのだ。

 カイアスを倒せば取り返しのつかない結果になるとライトニングは知っていたはず。それでもノエル達をカイアスと戦わせるのは、他でもない彼女自身。
 非常に大きな矛盾で、この矛盾に本来の目的が隠されていたとすれば辻褄が合うように思う。
 それがいったい何なのか。セラがこのような状態になるのを選択せざるを得なかった「さだめ」とは。
 5月のストーリーDLCで明らかになればと思う。

<fin>



※ライトニングのヴァルハラからの未来の視え方については<ノエルとセラへ、最後に残された新都アカデミアAF500年ゲートの謎>にて詳しく考察してあります。
※セラの死を予見出来てはおらず、知らないで導いたという結果は盲点でした。かなり脱力(笑)
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(前の考察を下敷きにしています)

 FF13-2 ノエルの背中の白い羽


 ノエルには背中に白い翼の模様がある。何故、彼の背中に白い翼があるのか。
 まず、Noelのelの字は天使の名のしっぽによくついている。
 ガブリエル、ミカエル、ウリエル等。
 ゲームでいえばエル・シャダイ(全能の神)で使われている。

 ノエルはクリスマス(聖夜)であり、彼の名は神に縁が深い。
 FF13-2では旧約聖書ノアの方舟のエピソードを思わせる部分がある。
 新コクーン(ブーニベルゼ)をわざわざ『方舟』と呼び、解放された混沌は”洪水”のようだ。
 その創世記のノアの方舟の話には興味深い記述がある。

 洪水に巻き込まれたノアとその家族や動物たちは、方舟に乗って難を逃れた。
 水を彷徨っているうちに、水位が下がり始める。ノアは一羽のカラスと鳩を放した。
 鴉は戻って来ず、鳩はオリーブの葉をくわえて戻ってきた。
 ノアはこのことから水が引き始め陸地が近いことを知った。

 この後、神は世界を破滅させるような洪水は起こさないことを誓い、その約束の証として虹をかけた。
 サッズ編にはチョコリーナを含む7色のひなチョコボが出てきて、この虹を思わせるし、
 ノエルの背中にある白い翼は、この鳩をなぞらえているようにも見える。

 この先、もし彼が再生世界を救う展開が続くと仮定するなら、背中の翼は神を示唆する彼の名の通り、天使的なイメージも重なる。
 そして羽といえば、ライトニングの鎧。北欧神話の戦乙女のヴァルキリーをモデルにしてると思われるが、天使でいうとミカエルが彼女の役割にあてはまる。

 大天使ミカエルはルシファーと戦い封印する天軍を率いた軍神として、十字軍に敬われ、ジャンヌダルクに啓示をあたえたとされる。
 フランスのモンサンミシェルはミカエルを崇める場所。ファルシはルシファーは似た響きの言葉だ。

 または大天使ミカエルが魂を冥界へ導くという役割の面においても、ライトニングと似たところがある。
ミカエルは死者の魂を天秤にかけて、天国行きとするか地獄行きとするか決めるが、その天秤的な映像がヴァルハラにある。

 時計塔の隣、ライトニングがオープニングでオーディーンに騎乗して駆け上がる神殿柱部分。
 全体像を見ると、岩の塊を固めたような非常にアンバランスな形の建物だ。まるで剣に封印された天秤のようにみえる。時計塔の周りには、周回する緑色のパイプのようなものがある。

 時計塔は13の文字が天辺にある。FF13でも一日の最高時間軸は13だったが、12時間であるプレイヤーの時間軸からみれば、存在し得ない時間外の世界(ファンタジー)であり、ヴァルハラもそのような存在の世界になる。

 周回する緑色のパイプは、天秤のような建物のように、輪廻転生する魂を。全てが寓意的に表現されているのだろうと思う。
 はたしてライトニングはミカエルのように混沌(ルシファー)を封印することが出来るのか。
 ノエルはノアのように再生世界を救うことが出来るのか。そのような今後の展開を祈って。
<fin>

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